
帯には「出口を塞がれた感情が、いつしか狂気と幻に変わる」とあります。そうして固くなった心を抱えた人々を描いた短編集です。
「虫卵の配列」
「羊歯の庭」
「ジェイソン」
「月下の楽園」
「ネオン」
「錆びた心」
「羊歯の庭」は、羊歯の葉だけを描く日本画家になりたいと思いつつ、妻子のため仕方なく家業の書店を営んでいました。ある日、昔の彼女から電話がきて、15年ぶりに秋子とつきあい始めます。人妻であることをのぞけば、全てが完璧に思えた秋子だったのですが・・・。
「錆びる心」は、お互い条件だけで結婚した夫婦。それも条件がいいからではなくて、こんなものか・・・と諦めにも似て。そんな夫婦なので愛も育たず、妻の浮気以来生活費もしめつけられたのを機に、10年計画で家出する計画を実行に移します。
このどちらもが、女性の心をよく描いていると思います。愛はそこに勝手に生まれていくものではなくて、2人がきちんと向かい合って努力して育てて行くものです。と思っているのは女性だけで、男性はそれぞれががんばっていたら自然発生していくと思っているのかもしれません。
249P 1997/11 文藝春秋 2000/11 文藝春秋文庫
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